焙煎と炊飯の話

前回、古くて新しい焙煎機(1960年代 ドイツ PROBAT(プロバット)社製 L-12)がCoffee Wrightsにやってきたお話をご紹介しました。

この焙煎機が、Coffee Wrightsのコーヒーに新しいキャラクターをもたらしてくれましたが…そもそもどうして焙煎機が風味に変化をもたらしてくれるのでしょうか。

コーヒーの味わいというのは、本当に沢山の要素が絡まりあった結果として生まれているので、一言でご紹介するのは難しいのですが、素材としてのコーヒー豆、道具としての焙煎機、季節によって変化する気候や気温、それらと対話してキャラクターを引き出そうと努めるロースターと、ひとつひとつの関係性が調和し、最終的に皆さんにお届けしているコーヒーの風味を生み出します。

そんな沢山あるプロセスのひとつである焙煎ですが、今日はその焙煎と炊飯の興味深い共通点のお話です。

コーヒー豆の焙煎中は、当然ながら味見をすることができないので、焙煎する前に生豆の産地や標高、品種、密度や水分量や精選方法など様々な要素を頭に入れます。蓄積したデータを基にどのように焙煎するのが良いか決めてから開始します。焙煎中は生豆の色が変わるタイミングをチェックし、都度香りを嗅ぎ、火加減を調整して理想の焙煎に近づけます。そして焙煎したコーヒー豆を繰り返しカッピングして、イメージと実際できあがったコーヒーの味わいとを比較して、必要な場合は調整を繰り返します。

多くの料理と違って、見ながら、味見をするしながら焙煎することができないのですが、このプロセスのイメージに近いのが「ご飯を炊く」という行為。

ご飯を炊くときには、新米なのか少し乾燥したお米なのか、品種はもちっと系なのか、さらっと系なのか、炊飯器を使うのか、土鍋なのか鋳物・琺瑯(ほうろう)鍋なのか、はたまた圧力鍋なのか、最初の火加減をどうする、途中の火加減をどうする、蓋を途中であけるのか、まぜるのか、蒸らし時間をどうするこうする… 途中で味見をすることはできないので、仕上がりのイメージと試行錯誤の繰り返しで、各家庭の味わいができあがるのだと思います。

なかでも、お米を美味しく炊き上げるには「熱の伝え方」が大切になってきますが、実はこの点もコーヒー豆の焙煎と共通するところ。

焙煎機が変わると、その機構や素材によって蓄熱性や熱の伝わり方が変わります。同じメーカーの焙煎機であっても製造年代によって微妙に素材が異なり、蓄熱性が変わることもあります。それぞれの焙煎機のキャラクターを感じつつ、熱の伝わり方をイメージして焙煎を行うのですが、このプロセスはまさに、炊飯に共通するところではないでしょうか。

どの鍋を選び、どんな火加減でご飯を炊けば美味しくなるのか、そんな炊飯に通じる試行錯誤をコーヒー豆の焙煎で日々重ねています。

*Coffee Wrightsのコーヒーは、各店のほかオンラインショップでもお買い上げ頂けます。

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